クレデンザ蓄音機
ヴィクター・トーキング・マシーン社
(ヴィクトローラ)1926年製
サイズ:H:115cm, W:80cm, D:56cm
1925年、アコースティック録音(ラッパ録音)から電気録音(マイクロフォン録音)へと録音技術が飛躍的な進化を見せました。
それまで技術的に制限があったオーケストラなどの大編成や大音量の録音が可能となる一方、それらを録音したSP盤を再生するための大型フロア型蓄音機の製造、発売が望まれました。
そしてアメリカで誕生したのが、Victrola Credenza(ヴィクトローラ・クレデンザ)です。
キャビネットはイタリア・ルネサンス様式の豪華さ。
78rpmのグルーヴ(音溝)から針(鉄や竹製)を通じて音をピックアップするサウンドボックスは真鍮製。
後年の亜鉛合金(ダイキャスト)製と比較すると、音の密度と輝きが大きく異なります。
キャビネット内には全長約1.8メートルの木製ホーンが折り畳まれた状態で収められており、このホーンを通して素晴らしい音を奏でます。
このクレデンザがアメリカ家庭のリビングに置かれ、家族団欒の場で音を奏で、時にはその音楽に合わせてダンスを楽しむ・・・。
そんな幸せな風景を是非想像してください。
シレナ蓄音機
1912年 ポーランド製 ラッパ型蓄音機
ラッパ直径:65㎝(真鍮製)
ロシア革命前の帝政ロシア下にあったポーランドで製造されたラッパ型蓄音機です。
当時のポーランドの優秀なプロダクツは、ロシア革命以降、ソビエト連邦とドイツの対立の犠牲となってきたポーランドに残存していること自体が稀で、第2次大戦後、ポーランド自体が社会主義国家となってからは、さらに海外に流出することはほぼないといった状態でした。
そんな中、奇跡的に日本の古道具屋に残存していたこの蓄音機を、店主の蓄音機仲間であるO氏が買い取りレストアし、それを同じく仲間であるT 氏が購入しました。
T氏のたっての願いで、このシレナ蓄音機は2023年1月9日、あたらくしあに設置されることになりました。
後述するアコースティック録音時代にそのSP盤を再生するために製作された蓄音機ですので、音質や音量、再現性においては、電気録音を最上級に再生するために製作されたクレデンザ蓄音機に大きな分があります。
ただし、超大型のラッパやキャビネットの凝った意匠など、音質だけでは語り尽くせない良さがあります。
ビジュアルと相まってアコースティック録音の雰囲気をよく表現していると言えるでしょう。
バリバリの現役・実動機なので、時を見つけては店内でもこのシレナ蓄音機でSP盤をおかけしていきます。
クレデンザ蓄音機・シレナ蓄音機の画像・動画をお撮りになりたい方は、お気軽にスタッフまでお声がけください。
ジャンルに関係なく家で眠っているSP盤があれば是非お持ちください。
クレデンザ蓄音機で再生させていただきます。
Records
「かふぇ あたらくしあ」には、SP盤(78rpm)、LP、CDといった音盤が、約1万枚収蔵されています。
「かふぇ あたらくしあ」にはアコースティック録音、電気録音による様々なクラシック音楽のSP盤があります。
特に1920年代~40年代の「両大戦間の時代」と言われ、社会的には不穏な空気が流れていた時代に録音された名演、名歌唱の数々をお楽しみください。
現在ではCDやサブスクリプションで、それらの音源を簡単に楽しむことができます。
しかし単なる懐古趣味ではなく、現在よりも「録音」という行為が稀少で、SP盤一枚を買うことが家計を大きく左右するような価値を持っていた時代に、丁寧に作られ、大切に聴かれたSP盤を蓄音機で聴くことが最高・最善の再生方法であることは言うまでもありません。
実際に長時間聴いても耳が疲れません。
SP盤(78rpm)
1948年にLPが発売されると、それ以前の音楽鑑賞ソフトであるSP(Standard Play)盤の生産量は衰退の一途を辿りました。
LPと同じ12inchの直径ながら、1分間に78回転で再生され、音溝の幅も広かったSPの1面に収録できる時間は5分まででした。
しかも塩化ビニール製のLPと比較し、シェラック樹脂製のSPはしなやかさがなく、少しの衝撃で簡単に割れてしまいます。
「Standard Play」という名称は、LP(Long Play)が発売された時、後付けでつけられたもの(レトロニム)で、日本でしか通用しない言葉です。
国際的には「78rpm(78 rounds per minute)」やその素材から「Shellac」と呼ばれています。
当初の録音は集音器(ラッパ)に取り付けられた振動板で、直接針を振動させてレコード原盤にカッティングする「アコースティック録音」でした。
そして1925年にマイクロフォンを使用、アンプで音声信号を電気的に増幅し、カッターヘッドを電気駆動させワックス盤にカッティングする「電気録音」が登場し、クレデンザの項で記したように録音の幅が格段と広がりました。
LPレコード
1948年以降のLP時代になってもレコードは贅沢品でした。
演奏や録音が素晴らしいのはもちろんですが、特に初期LPはその30センチ四方のジャケットのデザインや写真も、それ自体が芸術品であるかのような秀逸なものが多いです。
12センチというCDの小さなジャケットでは表現しきれないアートです。
「かふぇ あたらくしあ」にある2台のLP再生用プレーヤーは、1960年代から70年代に西ドイツで家庭用機器として生産された中古品です。
「よいレコードは普通の装置でも、よい音で再生される」と思っています。
(STEREO盤用)
Miracord 40A
(MONO盤用)
[SP盤データ化・CD-R化サービス]
「再生機器がないので折角のレコードが聴けなくて」とお嘆きであれば、SP盤・EP盤やLPレコードを再生、録音し、音声データもしくはCD‐Rでお渡しするサービスをご利用ください。
ご要望の際はスタッフまでお申し付けください。
【音声データ化サービス料金】
●SP盤・EP盤1枚 1,000円(片面盤は700円)
組物はその枚数分の料金を承ります。
SP盤は、盤面と盤面の「繋ぎ編集」も行います。
●LPレコード1枚 2,500円
お届け、お渡しまでに1週間から2週間のお時間をいただきます。
予めご了承ください。