

かふぇ あたらくしあ が所蔵するSPレコードの名盤(名演・隠れた名盤・希少盤・・・)を、「クレデンザ1926 およびシレナ1912×78rpmの邂逅」コンサートと連動し、CD-Rにして頒布するシリーズ。
コンデンサーマイク1本で録音された音源は、イコライジング、マスタリングなどの作業を敢えて行わず、そのままCD-R化しています。
著作権および著作隣接権もすべてクリアになった音源ですので、安心してお楽しみください。
1930年代、EMIが史上初の全4作全曲録音を目指したワーグナーの超大作 楽劇『ニーベルンゲンの指環』プロジェクト。その指揮者に当然のように選ばれたのはブルーノ・ヴァルター。そしてオーケストラはウィーン・フィルハーモニー管弦楽団。
その録音は1935年6月、第一夜(第2作)『ヴァルキューレ』からスタート。しかし時は2年前に政権を奪取したナチス・ドイツがその勢力、そしてユダヤ人排斥工作を拡大する最中。ユダヤ人であるヴァルターは既にドイツ本国を離れ、オーストリア・ウィーンを本拠に活躍していたが、ナチスのオーストリア侵攻・併合の流れの中、彼はナチスからの脅迫、時には殺人予告を受けるまでに追い込まれ、38年のオーストリア併合後はウィーンからも追放。2年弱の間“音楽の漂流者”としてヨーロッパを転々とした後、39年には新大陸アメリカへ渡ることになる。
こうした事情で楽劇『ニーベルンゲンの指環』全曲録音プロジェクトは頓挫したが、辛うじて『ヴァルキューレ』第1幕は録音された。合唱も登場せず、登場人物はジークムント、ジークリンデ、フンディングの3名だけ、ストーリー的、音楽的に完結感が備わっているため、演奏会形式で取り上げられることも多い『ヴァルキューレ』第一幕。
ウィーン、ミュンヘン、ベルリンでも『ヴァルキューレ』を頻繁に取り上げてきたヴァルターの下、ジークリンデを務めるのは、ワーグナーのソプラノ諸役の中ではこの役を最も得意とし、ヴァルターから寵愛されたロッテ・レーマン。そしてジークムントは、当時最高のワーグナー・ヘルデン・テノールと言われたラウリッツ・メルヒオール。そしてフンディングは30年代を代表する“ワーグナー悪役バス”、エマニュエル・リスト。
英HMV盤と較べ、音の骨太感が感じられる米Victor盤を、同社製で“蓄音機の王様”と称される1926年製クレデンザ蓄音機で再生、多くの人がイメージする「温和で木質な音楽」を覆すヴァルターの骨太で直截、時には荒々しささえ感じさせる『ヴァルキューレ』をご堪能ください。
R.ワーグナー:楽劇『ヴァルキューレ』第一幕
ロッテ・レーマン(S:ジークリンデ)
ラウリッツ・メルヒオール(T:ジークムント)
エマニュエル・リスト(B:フンディング)
管弦楽:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮: ブルーノ・ヴァルター
[原盤]
Victor Red Seal M-298 (8枚組)
1935年6月20日~22日
ウィーン・ムジークフェライン大ホールにて録音
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ブルーノ・ヴァルター

ロッテ・レーマン

ラウリッツ・メルヒオール

エマニュエル・リスト
