[日時] 2025年5月18日(日) 開場:13:00/開演:14:00(終演予定:16:00)
※今回は休憩時間がございません。13:45までには必ず会場にお越しください。
[料金] チャージ1,000円 + 1ドリンク以上オーダー
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1930年代、EMIが史上初の全4作全曲録音を目指したワーグナーの超大作 楽劇『ニーベルンゲンの指環』プロジェクト。その指揮者に当然のように選ばれたのはブルーノ・ヴァルター。そしてオーケストラはウィーン・フィルハーモニー管弦楽団。
その録音は1935年6月、第一夜(第2作)『ヴァルキューレ』からスタート。しかし時は2年前に政権を奪取したナチス・ドイツがその勢力、そしてユダヤ人排斥工作を拡大する最中。ユダヤ人であるヴァルターは既にドイツ本国を離れ、オーストリア・ウィーンを本拠に活躍していたが、ナチスのオーストリア侵攻・併合の流れの中、彼はナチスからの脅迫、時には殺人予告を受けるまでに追い込まれ、38年のオーストリア併合後はウィーンからも追放。2年弱の間“音楽の漂流者”としてヨーロッパを転々とした後、39年には新大陸アメリカへ渡ることになる。
こうした事情で楽劇『ニーベルンゲンの指環』全曲録音プロジェクトは頓挫したが、辛うじて『ヴァルキューレ』第1幕は録音された。合唱も登場せず、登場人物はジークムント、ジークリンデ、フンディングの3名だけ、ストーリー的、音楽的に完結感が備わっているため、演奏会形式で取り上げられることも多い『ヴァルキューレ』第一幕。
ウィーン、ミュンヘン、ベルリンでも『ヴァルキューレ』を頻繁に取り上げてきたヴァルターの下、ジークリンデを務めるのは、ワーグナーのソプラノ諸役の中ではこの役を最も得意とし、ヴァルターから寵愛されたロッテ・レーマン。そしてジークムントは、当時最高のワーグナー・ヘルデン・テノールと言われたラウリッツ・メルヒオール。そしてフンディングは30年代を代表する“ワーグナー悪役バス”、エマニュエル・リスト。
英HMV盤と較べ、音の骨太感が感じられる米Victor盤を、同社製で“蓄音機の王様”と称される1926年製クレデンザ蓄音機で再生するという絶好の機会をお聴きのがしなく!